《入梅とは何か》
入梅(にゅうばい)とは
日本の伝統的な暦のうえの区分である
「雑節」のひとつです。
太陽の黄道上の位置が80度に達した日
と定められており、毎年おおむね
6月11日ごろにあたります。
この日を境に梅雨の季節が
始まるとされてきました。
「梅に雨」と書くその字が示すように
梅の実が熟し、雨をたっぷりと吸い込む
季節のことをさしています。
古来より農耕と深く結びついた言葉であり
田植えの時期を知るための目安として
農家に重宝されてきました。
《梅雨入りとの違い》
「入梅」と「梅雨入り」はよく混同されますが
その性質はまったく異なります。
入梅は暦のうえで毎年ほぼ固定された日付ですが
梅雨入りは気象庁が実際の気象データをもとに
発表する観測上の宣言です。
そのため、入梅と梅雨入りが
同じ日になることはほとんどなく
年によっては1〜2週間ほど
ずれが生じることもあります。
気象庁の梅雨入り発表は
統計的な観測にもとづくため
後から訂正されることも珍しくありません。
入梅:暦(太陽黄経80度)によって
毎年ほぼ6月11日ごろに固定される節目。
梅雨入り:気象庁が実際の天候をもとに
発表する気象情報。
年によって日付が変わる。
《入梅の時期と地域差》
暦のうえでの入梅は全国共通ですが
実際に雨の季節が訪れる時期は
地域によってかなり異なります。
沖縄では5月上旬ごろに梅雨に入り
本州・四国・九州は6月初旬ごろ
東北・北陸は6月中旬ごろとなります。
北海道は梅雨がないことでも知られており
入梅の実感は薄い地域です。
日本列島が南北に細長いため
同じ「梅雨」でも体感はまるで違います。
それぞれの地域で、土地に合った
梅雨との付き合い方が受け継がれてきました。
《なぜ「梅」の雨と呼ばれるのか》
入梅という名の由来については
複数の説があります。
もっとも広く知られているのは
梅の実が熟す季節の雨であるという説です。
ちょうど6月の雨の時期と
梅が収穫を迎える
タイミングが重なることから
この名がついたとされています。
また、中国の暦では梅の木に黴(かび)
が生えやすい季節という意味で
「黴雨(ばいう)」と呼ばれており
それが日本に伝わる際に
「梅雨」という字が
あてられたとも言われています。
どちらの説も、梅という植物が
この季節の象徴として
深く結びついていることを教えてくれます。
《入梅の時期を快適に過ごすために》
湿度が高くなるこの季節は
カビや食品の傷みに注意が必要です。
こまめな換気と除湿が
室内環境を保つ基本になります。
衣類や寝具はできるだけ
晴れ間を見計らって
乾燥させるようにしましょう。
また、雨の日が続くと
気分が落ち込みやすくなることもあります。
そんなときは、あえて
雨音を楽しむ時間を作ったり
室内での読書や
お気に入りの音楽を聴いたりと
この季節ならではの
過ごし方を見つけることが
梅雨を心地よく乗り越えるヒントになります。
古くから日本人は
梅雨を厄介なものとしてではなく
稲作に不可欠な「恵みの雨」
として受け止めてきました。
入梅という言葉の静けさのなかに
その長い歴史と自然への
眼差しが宿っています。
《まとめ》
入梅は、暦のうえで定められた
梅雨の始まりを告げる雑節です。
毎年6月11日ごろにあたり
梅雨入りとは異なる性質を持ちます。
農耕文化に根ざしたこの言葉は
日本人が季節と丁寧に向き合ってきた
証のひとつと言えるでしょう。
今年の入梅を、少しだけ意識して
迎えてみてはいかがでしょうか。
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