小満(しょうまん)は
二十四節気のうち第8番目にあたる節気で
毎年5月21日前後に訪れます。
前の節気である立夏が
「夏の始まり」を告げるとすれば
小満はその初夏の気配がいよいよ
確かなものになっていく節目です。
「小満」という名前は
中国の古典暦法に由来します。
その意味は、
「陽気が満ちはじめ、草木が成長し
天地にいのちの気がほんのすこし満ちてくる頃」
とされています。
「小」は「まだ完全には満ちていない」
というニュアンスを含んでおり、
夏至で最大となる太陽のエネルギーに向かって
世界がじわじわと満ちていくさまを
表現した言葉です。
日本では古くから農業と深く結びついており
小満の頃は麦が穂をつけ
黄金色に実りはじめる時期でもあります。
農家にとっては、長い冬と春を経て
ようやく収穫の兆しが見えてくる
希望に満ちた時節でした。
《小満の気候と自然のようす》
小満の頃になると、日本列島では
各地で夏の気配が濃くなります。
最高気温が25度を超える夏日になる日も増え
南から吹く湿った空気とともに
梅雨の足音も聞こえはじめます。
特に近畿以西では、この時期に
「走り梅雨」とも呼ばれる
一時的なぐずついた天気が訪れることもあり
本格的な梅雨入りへの
プロローグといえるでしょう。
《小満に旬を迎える食べ物》
小満は食の豊かさを実感できる
節気でもあります。
初夏の恵みをふんだんに取り入れた食卓は
体にとっても季節の変わり目を
乗り越えるための大切な養生となります。
旬の野菜・山菜
◎そら豆
収穫適期はわずか2週間ほど
といわれる貴重な豆。
ほくほくした甘みは
塩ゆでだけで十分な美味しさです。
◎グリーンピース
さやから出したてのものは
缶詰とはまったく異なる
清々しい甘みがあります。
◎新玉ねぎ
辛みが少なく瑞々しい食感が特長。
サラダや薄切りにして
ドレッシングをかけるだけで絶品です。
◎わらび・ぜんまい
山菜の季節の終わりを告げる存在。
あく抜きをしてお浸しや炒め物に。
◎ニラ
この時期のニラは葉が柔らかく風味が豊か。
スタミナ補給にもおすすめです。
旬の果物・その他
◎びわ
初夏を代表する果物。
優しい甘みとほのかな酸味が
小満の空気によく似合います。
◎さくらんぼ
国産のさくらんぼが店頭に
並びはじめるのもこの頃から。
◎麦(小麦・大麦)
末候の「麦秋」が示すとおり
麦の収穫が始まります。
新麦を使ったうどんやパンは格別の風味です。
◎あゆ
解禁直後の若あゆは香魚の名にふさわしい
清涼な香りと淡泊な味わいが楽しめます。
《小満の養生と体の整え方》
東洋医学の考えでは、小満の頃は
気温と湿度が上がりはじめることで
体内に熱がこもりやすくなるとされています。
「心(しん)」のはたらきが
旺盛になる季節でもあるため
心身ともに少し興奮気味に
なることもあります。
意識的にゆとりある時間をつくり
心を落ち着けることが大切な時期です。
食事面では、苦みのある食材を
意識的に取り入れることが夏の養生に
つながるとされています。
ゴーヤ、ふき、山菜など
ほどよい苦みをもつ旬の食材は
体にこもった熱を払ってくれると
昔の人は考えました。
また、汗をかきやすくなるこの時期は
こまめな水分補給が欠かせません。
麦茶やはと麦茶など
体を冷やす効果があるとされる飲み物は
小満から積極的に取り入れたいものです。
睡眠については、日が長くなるにつれ
早起きが自然とできるようになる季節です。
早朝の涼しいうちに散歩やストレッチを行い
夜は早めに休むというサイクルが
夏に向けて体力を蓄えるうえでも
理にかなっています。
小満とは、天地にいのちのエネルギーが
じわじわと満ちていく
初夏のまぶしい節気です。
完全に満ちるわけではなく
「ほんのすこし満ちてくる」という
スケールの小ささが、かえって愛おしい。
自然も、人の体も、少しずつ
夏へと向かっていく。
そのプロセスそのものを丁寧に感じ取ることが
小満という言葉の本当の意味ではないでしょうか。
二十四節気は、月日が経つごとに
私たちの暮らしから遠ざかってきました。
しかし小満のように、名前を知り
旬の食べ物を食べ、季節の花を眺めるだけで
日々の生活に深みと豊かさが加わります。
今年の小満の15日間
ぜひ少しだけ空を見上げて
初夏のいのちの輝きを感じてみてください。
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